いつもみつこさんを訪ねる時には、よしおさんにも伝えておきます。
昨日も、「今からお母さんのところへ行って来ますね。」と言うと。
よ「ありがとね。私はおかあちゃんのところへ行かなくていいかい?」と言うので、
パ「よかったら、一緒に行きましょうか?」と声をかけました。すると、
よ「おかあちゃん、元気か?」
パ「もう、すっかり元気よ。」
よ「そんならいいわ。元気でやってるならいいわ。」と答えました。
ちょっと意地悪して、
パ「『おかあちゃんのところへ行かなくていいかい?』って、施設へ入らなくていいかということ?」と聞いてみました。
なんて答えるかな〜って思ったら、こんな答えでした。
よ「うちがいいよ。」そして、「あそこは部屋がひとつしかないもの。」と続きました。
うーーーーん、確かに。ひと部屋だけの世界です。
よしおさんときたら、広いおうちのあの部屋も、この部屋も全部自分専用の物置にして、並べるわ並べるわ、何年も前の週刊誌すら捨てさせないのですもの。
それを全部ホームのひと部屋に詰める事はできないものね。
しかも、プライバシーはないものね。
しかし、誰かについていて欲しい。死ぬかもしれない。怖い。と不安が一杯で暗く沈んでいたところから見事に脱出しているということの証明です。
3月の時点では、これでは施設に入ってもらわなくては、自宅でひとりでは置いておけないと思って、みつこさんの特養の申込書ももらって、すでに記入済みなのです。
ところが、だんだん調子が上向いてきて、特養に入所希望していたことも忘れてしまうくらいです。
申込書は机の奥にしまわれたままなのです。

今日は鍼治療の往診日ですので、約束の時間より少し早めに出かけて行きました。
着いた時は、何やらご機嫌があまりよろしくありませんでした。
私が手をとっても、「何ですかっ」とちょっと怖い感じです。
私たちの横を車椅子を自走している住人さんが通りかかると、「何ですかっ」とまたつっかかります。
その方が何もおっしゃらないで、すーっと通り過ぎて行かれると(たぶんお耳が悪い)、「嫌な人」とつぶやいておりました。
うーーむ。可愛くないお婆さんが戻ってきています。
何故だろう? ガーデンアンゼリカが多い? 慎重に見たいと思います。
ちょっと怖い顔でしゃべっているみつこさんの側に座っていると、介護士のMさんが側に来て、今日のいいエピソードを教えて下さいました。
この方は乳癌を見つけて下さった方です。
今朝も起床介助に来て下さると、機嫌良く起きてきたみつこさんが、介護士さんに話かけたそうです。
み「ちょっと見て!」
M「なあに?」
み「こんなに日が差し込んでいる。」
M「どこどこ?」
み「ここっ」って、部屋に差し込んだお日様の跡を教えてくれたそうです。
嬉しかったですよ。
これが、今、私が目標としていることなのです。
記憶が戻らなくてもいいから、今現在のことで、言葉のキャッチボールができるようになること。
こんなことが増えていくといいな。
そして、介護士のMさんは私が行くと、いつもそんなエピソードをひとつ、ふたつ、知らせて下さいます。その気配りが嬉しい私です。
素敵な介護士さんです。まだお若いお母様です。
さて、鍼の先生が到着された頃には、機嫌も直っておりました。
ベッドに横になってもらい(それがまたひと苦労ではあります)、マッサージを始めることができました。
先生がおっしゃるには、指圧なので、ある程度は痛みを感じるくらいでないと効果がないし、「痛・気持ちよい」というくらい力の入れ具合を好む人が多い。
みつこさんは、マッサージを受けているということが理解できないために、少しでも痛みを感じると、「止めてーー」となるのだろうと言う事です。
成る程。言われてみればそうですね。
それで、みつこさんには、痛みを感じないくらいの力でマッサージしてもらいます。
あまり効果的ではないようですが、気持ち良く眠くなるようで、じっとしていてくれました。
先生が、「私のこと、わかる?」とお聞きになると、みつこさんは「わかる」と答えました。
マッサージのことも、今日はなんとなくわかっていたかもしれません。
順序が前後しますが、今日は施設に着くとまず最初に介護士さんから、ここのところ便が緩いことを伝えられました。
今朝から何度か排便が出ているので、もしも鍼の最中に出たら教えて下さいということでした。
先日から、十全大補湯と、フェルガード100増量を行なっています。
十全大補湯にも、ガーデンアンゼリカにも緩下作用があるそうで、両者が相まっている可能性がありそうです。(きじとらさんに教えて頂きました)
みつこさんはもともと物凄い便秘で困っていました。パンカマ、マグミット、座薬に摘便とフルコースです。
こちらを調整してもらって様子をみようと思います。
それでも緩ければ十全大補湯の量を考えるか、少し止めるかにしようと考えています。


よしおさんが怒らなくなって、久しくなります。
今日もみつこさんの経過をまとめていて、過去の日記に浸っておりましたが、よしおさんの怒りのピークは2007年の前半だったことがわかります。
ちょうどみつこさんががたがた崩れてきて、食べ尽くしと排便処理に私ひとりできりきり舞しているところへ、追い討ちをかけるように、「盗んだな」「返してくれ」「大悪党め」と、うるさくて、辟易していました。
みつこさんが入院しても、施設に入っても、決して会いに行こうとはしませんでした。
家を空けたら、その間に私と夫がぐるになって、何をしでかすか分からないからだそうです。
あの頃は、普通に普通の話をしているのに、突如、目が釣りあがってきて、三角になるとよく言っていましたが、まさしくそんな感じでした。
突然怒り出して、訳がわからない。
その場を離れようとすると、「逃げる気かーーー」と追ってくる。
その場に居れば、掴みかかって、「どこにあるのか言ってみろっ」とか、言えないでいると余計興奮して、「殺してやるーー」とか言い出して、手に負えませんでした。
それでも、何とかやり過ごしてこれたのは、月1くらいの頻度で済ましていてくれたからでしょう。
2007年前半で、一旦ピークを過ぎたら、クビを締めたりする酷い妄想発作は起こらなくはなりました。
でも、ぶすぶすと中程度の物盗られ妄想はくすぶってはいました。
フェルガード100を飲み始めて、4ヶ月目に入院し、それ以降ぱったりと治まりました。
当初は本人は死ぬ思いで入院したのだから、無事退院できて、生れ変わったつもりになったのか、娘に感謝する気になったのかと思いましたが、そうではなく、フェルガード100がじわじわと効いてきたのと、時期がちょうど合致したのではないでしょうか。
退院後はデイサービスに出かける。
みつこさんに会いに行く。
ショートに滞在する。とびっくりすることばかり。
そして、まだ信じきれずに、はらはらしている家族を尻目に全く不穏になりません。
ちいさな不安とか、興奮するかなーーというサインはありますが、気付いて対処すれば大事になることは決してありません。
ただ、みつこさん同様、認知機能の方は衰えております。
今言ったことも、全く記憶に残りません。
それなのに、人に任せることは、できません。(家の中の修理、大きい買い物など)
もう、何回でも何回でも何回でも何回でも、しつこく聞きます。
あまりのことに、この前もつい、「もぉ、さっきから何回でも言ってるじゃない。ボケてるわね。」とつい言ってしまいました。
以前だったら、(怖くてそんな言葉は言えないけれど、言ったとしたら)
予想される反応は、「ボケてるだとぉ、それが親に言う言葉か、大悪党にそそのかされたか、このぉ」と、手を振りかざす。と言ったところでしょうか。
それが、この前は、何と何と、
「がはははぁ〜」と笑った後、「そんなに何回も聞いたかね??」だって。
やっぱり、フェルガード100は穏やかになって、かつ、朗らかになります。(断言します)
写真はよしおさんちの「にゃん吉」くんです。

5日、6日のみつこさんのことをまとめてもう一度書きます。
4日のお誕生日に訪ねて行けなかったので、5日にちゃーさんから頂いたケーキを持って出かけました。
ユニットに着くと、すぐに介護士のTさんが、「昨日の写真です」とデジカメの画面を見せて下さいました。
ユニットで、簡単お誕生会をして下さるようです。ちっさなケーキにロウソクを立てて、「お誕生日おめでとう」と言ってもらったようです。
「右手に○○、左手にフォークを持って、ロウソクを吹き消して、器用でしたよーー」と教えて下さいました。
カメラの中には笑顔のみつこさんが見えました。(○○は何だったか忘れてしまいました)
それから、いつものように喫茶室へ移動して、今度は家族でケーキを食べました。
喫茶室のカップやお皿を使ってもいいそうなのですが、洗っておかなくてはならないし、ふきんなどがみつからないので、面倒なので、最近はお懐紙と紙コップを持参しています。
懐紙の上にケーキを取り分けていると、「これ何?」と懐紙を指さします。
それとか、夫のカメラのケースを「あれ、何?」と聞きます。
1才のお誕生日を過ぎたみつこちゃんは、いろんな物に興味を持ち始めたようです。
この調子で日本語をもう1回、覚え直したりして・・・。
先が楽しみです。
6日には、認知症外来がありましたが、先生がいらっしゃる前に少し時間がありましたから、前から気になっていたひげそりをしました。
「顔の産毛剃り」はやってもらっていないよね。写真を見てもひげが気になります。
そこで、この日はかみそりを持って出かけました。
じっとしていてくれないと、怖いのですが・・・。
ちゃんと説明してから、鼻の下をひっぱりつつ、かみそりを当てました。
じーーーっと身動きせずにいてくれました。終わると、「もういいの?」って、聞いてくれました。
私は内心、「やったぁーーー」状態になりました。
これからは、こうして、みつこちゃんの成長記録をつけていけるのかと思うと、感慨無量です。
先回の外来が1ヶ月前で、ちょうど手術の直前でした。
「次回には元気な姿が見れますね。」と言って頂きましたが、お約束どおり、すっかり元通りのみつこさんに会って頂くことができました。
そこで、これまたお約束どおり、フェルガード100を1日6包に挑戦してみることに致しました。
飲み方は朝1、昼2、おやつ時1、夕1、寝る前1 です。
今日のみつこさんは、穏やかは穏やかですが、気分もちょっとダウンぎみで、「もう嫌になっちゃった。」とか呟いておりました。
9月分の生活記録のコピーももらったので、目を通していたら、「とても悲しそうな顔をして、涙ぐんでいた」という記録がありました。
みつこさんの脳の中で何がおきているのかは不明ですが、少し、うつうつとしてきたのでしょうか。
気力がダウンしてきているのでしょうか。
また、漢方にお詳しいきじとらさんから教えていただきました、十全大補湯も先生に処方して頂きました。
病後の体力回復、気力アップにも繋がるそうで、気分のダウンも持ち直すかもしれません。
今日は診察中に1回だけ、私の問いにきちんと答えてを返してくれました。
何を聞いたのだったか忘れてしまうところが私のお脳の老化を表しておりますが。
こういうピカッとしたものが、少しづつでも増えていってくれたら、嬉しい。
フェルガード1包追加と十全大補湯で、さらに一歩踏み出せたら、いいな。